雑食系 国語教師の【Pillow Book】

春はあけぼの。国語とか教育とか、音楽とかメディアとか、旅とか社会とか人間とか。日本。

【映画随想】『パラサイト~半地下の家族~』

今日は映画のレビューとかしてみます。

もうこのブログは本当に何でもござれなのでw

特段映画好きというわけではないですけど、まぁ素人だから思うこと、語れることもあるのかなと思って。

 

今日お話しするのは「パラサイト~半地下の家族~」について。

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言わずと知れた、アカデミー賞を受賞した韓国の作品です。外国語映画としては初めての受賞なんですってね。普段は反韓がハビコるネット上でも、さすがに称賛を浴びていました。

 

以下、ネタバレ含まざるを得ないので、まだ見ていない人で、これから見たいという人は読むのをお控えください。

 

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韓国語タイトルは「기생충(キセンチュン)」。

お分かりですかね、漢字だと「寄生虫」です。つまりパラサイトというのは日本語訳、というか英訳の輸入みたいなプロセスなんですよね。個人的には「寄生虫」の方が、あの話のオゾましい展開的にはよい気もしますが、まぁしかし、実は字幕翻訳の根本理恵先生は、僕の大学時代の韓国語の師のおひとりなので、

 

「パラサイト」でよいと思います!笑

 

(余談ですが、根本理恵先生はパラサイトのほかにも「猟奇的な彼女」などの字幕翻訳から、少女時代、SHINeeチェジウ、キムヨナなどの韓国有名人の通訳もこなす、韓国通訳界の第一人者なのです!東大で韓国語勉強している人は絶対会うべき!笑)

 

僕が見終わってまず思ったことは、「あー、これはエンタメ作品だな」ということ。もちろん違う感想も多くあるでしょう。結構胸をえぐられるような描写もあるので。でも僕は総じてそう思ったんですよね。

 

作品のテーマは「格差問題」。

「半地下」と呼ばれる空間に住む貧困層家族と、明らかな豪邸に住む富裕層家族がメインキャラクターなので、それは誰が見てもわかると思います。

 

ちなみに、「半地下」ができたのには北朝鮮が関係してきます。簡単にいうと「防空壕」的役割で、有事の時に避難所として使用するために、住宅建築の際、「半地下」のような地下設備が義務化されたのだそうです。そして1975年ころ、ソウルに大量の人が流入した結果、そのような「悪環境」の半地下に貧困層が住み着いたのですね。

やはり半地下という空間は、太陽光が射さない、電波が届かない、下水処理に不備がある、雨が流れ込む、湿気がたまる、など、まぁとにかく住むには全く適さないわけです。

それを説明ではなく複数のエピソードから、なんなら一部は面白おかしく描写していたのも見事でした。

 

格差問題を映画化すると、ややもすると暗い映画となりますが、「パラサイト」にそういう印象はあまりありませんでした。ハッピーエンドというわけでもないですけどね。

 

韓国ドラマにはまるオバ様やガールズが結構いますが、韓国ドラマのストーリー展開の特徴は「劇的」だと思います。だからドキドキを求める女子たちに人気があるのかな。

日本ではストーリー展開に理屈を求めがちですよね。だからスムーズに話が進んでいくのですが、一方で、スムーズであるためにそこに意外性や刺激は感じにくい。最近のドラマだと、「おっさんずラブ」とか「コンフィデンスマンJP」とかはその辺うまくいった気がしますが、他のドラマは、展開がどうもスローすぎて僕はお好みでありません。

 一方、「いやそれ無理やり過ぎないか」という展開や設定であっても、結構ごり押ししてしまうのが韓国ドラマだったりするわけです。

今回であれば、半地下家族の長男の家庭教師能力の高さとか、半地下家族の長女の画像偽造能力の高さとか、半地下家族全員の(役としての)演技力の高さとか、まぁとにかく設定としては結構無理があるんだけど、そこは映画のもつフィクション性という点で許されるのかなと思います。

 

前半はくすりと笑えるシーンが割と多く出てきます。しかしあるところから話が急展開してくる。急展開というより、まさに急転直下という感じでしょうか。まさか”半”地下よりさらに上(というか下)があったとは…。

 

そういう意味でやはり「“半地下”の家族」というサブタイトルを付けた根本先生はさすがですね!笑

 

「パラサイト」が良くできているなぁと感じたのは、そういった「格差問題」という重いテーマを扱い、社会に内在するシリアス問題をリアルに描写しながらも、コメディサスペンス現実非現実など、映画にまつわる様々な要素が2時間に丁寧にパックされているところです。

とにかく2時間見ている中で、色々な感情が目まぐるしく自分の中で展開していくので、飽きることのない映画だったなと思います。

 

 

「格差問題」を扱っている点で、是枝裕和監督の「万引き家族」と比較されることも多いそうですね。まぁ僕的には、似て全く非なるものかなと思います。だからこそ、それぞれはそれぞれでよい作品なのかと。

 

しいて言うなら、「万引き家族」はやはり日本的な映画だと思います。

万引き家族」を見ていた時に感じたのは、「もはやこれは映画なのか?ドキュメンタリーなんじゃないか?」とでも言えそうなほどのリアリティなのです。もちろん「そんなことあっちゃいかんだろ」というアンリアルな展開ではあるのですが、良い意味で淡々と紡がれていくために、そういう錯覚を起こさせるのだろうと思います。

一方の「パラサイト」は、再度言いますが、ドラマチックな展開でエンタメ性も強い作品です。韓国ドラマとアメリカのドラマに類似性があるように、やはり韓国映画の方がアメリカの映画との親和性は高いでしょう。

そこはもはや、映画製作の手法とか美学とかの違いだと思うので、日本映画がアカデミー賞をとれないから、日本映画より先に韓国映画アカデミー賞をとったから、韓国映画の方が優れているということには決してならないと思います。もちろん逆もしかりです。

これはKアイドルとJアイドルにも言えそうですね。韓国アイドル、日本のアイドルについても追々書きたいと思っていますが。

 

というわけで、今日はとても内容の薄い映画レビューを書いてみました。

すみません、でも結局は、「自分で見て」というよりほかにはないと思うんですよね笑。

レビューっていうか、自分の中での備忘録ですね。

ただまぁ、一つ言えるのは、「パラサイト」は一見の価値ある作品だと思います!

なんなら僕、もう一回見たいなぁと思っていますね。

 

これを読んで少しでも興味持った人は、

パラサイト~半地下の家族~」ぜひ見てみてください!

 

 

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P.S. これは劇中で「ジャージャー・ラーメン」と訳されているもので、韓国語では「빠파구리(チャパグリ)」と言われています。2つのインスタントラーメン(「チャパゲッティ」と「ノグリ」を合わせて作るんですが、これを「食べたい」と思ってすぐに作れる我が家は、もはやリトルコリアではないかと思いました。。。

おいしい!けど、僕はノグリ単体の方が好き。……どうでもよいね。