雑食系 国語教師の【Pillow Book】

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日本の教員は、なぜそんなに働きすぎなのか?【教員の働き方改革】

「教員の働き方改革

…が叫ばれているのはご存じでしょうか?

 

本当は部活動の話をしたかったのですが、

その話をするためにはまず、

教員働きすぎ問題」を避けては通れないので、

なぜ日本の教員が働きすぎなのか、

僕の考えをお話しします。

 

※小学校のことは詳しくないので、中高に話を絞ります。

 また私立学校で勤めているため、

 公立や他の学校とは少し異なる部分があるかもしれません。

 

まず、中高教員の主な仕事は3つです。

 

①担任業務

本の学校にはおおむね「担任制度」があります。

説明するまでもありませんね。

 

学校は各家庭から子供を預かり、

親の代わりに教育をするという組織ですから、

担任はある意味「親代わり」です。

 

朝や帰りのホームルームだけではなく、

生徒と適宜面談をしたり、通知表を書いたり、

問題が生じれば解決に奔走し、

他の教員や親と連携を取る必要があります。

また、道徳などの教科教育で学べないことは

担任教諭が請け負う場合が多いでしょう。

体育祭や文化祭も、クラス単位で何かするなら、

担任がサポートする必要があります。

 

②教科指導

中高は各教員専門の教科があり、

その教科の授業を担当します。

僕の場合は「国語科」ですので、

国語に関連する授業をすべて担当します。

進学校などでは、現代文と古文や漢文を分けている学校も)

 

授業がもちろんメインですが、

授業に準備は不可欠です。

それに加え、宿題のチェックやテストの採点、

成績処理などがあげられます。

(宿題やテストの必要性についてはここでは横に置きます)

 

③校務分掌

一般の方にはピンとこないかもですね。

端的に言えばこれは、

学校運営のための裏方仕事です。

多くの学校にあるのは、

教務系、生徒指導系、進路系でしょうか。

 

【ざっくりした説明】

◆教務系

授業やテストなどの時間割作成、教材管理、

学習指導要領に則った成績処理や単位管理、etc.

◆生徒指導系

行事・部活動運営のバックアップ、

生徒指導や問題行動の対応、etc.

◆進路系

進路指導のための情報収集・提供、

大学・高校進学や就職のサポート、etc.

 

それに加え、

施設管理や広報活動などがある場合があります。

校務分掌は学校によって異なりますが、

おおむねこんな感じです。

 

以上の3つがないと、

今の日本の学校組織は成り立ちません。

この3つに関しては、

大体平等に仕事が割り振られているはずです。

(実際はどこの組織でも、仕事量が完全に平等なのは稀ですが)

 

人によって違うでしょうが、

①が2~3割、②が5~6割、③が1~2割

というのが僕の感覚。

 

問題は、この3つをこなすだけでも、

定時内に仕事を終わらせるのはかなり不可能

だということ。

 

日中は、当然授業があるし、

生徒が学校にいれば目を配らないといけないし、

校務分掌の仕事もこなさないといけない。

それだけで、

空き時間はあっという間に埋まります。

 

授業準備は人によって差はありますが、

「授業が1種類しかない」

などの特殊な状況でない限り、

定時内で終わらせるのは無理でしょう。

 

 

さて、

お気づきでしょうか…?

 

 

この3つの仕事には、

「部活指導」は入っていないのです。

 

「部活動」は学習指導要領において、

学校教育の一環だが、「教育課程外」であり、

「生徒の自主的・自発的な」活動である

と位置付けられているからだと思われます。

 

部活動はほとんどの場合、

放課後と休日に行われますね。

 

放課後の部活動の終了時刻は、大抵の場合、

教員にとってはすでに定時勤務外です。

そして部活動がある教員の多くは、

部活後に授業準備をせざるを得ません。

 

休日には大会や練習試合、練習があります。

休日出勤には、代休がもらえますが、

平日には授業や部活があり休めません。

(代休:休日働いた代わりに平日休める制度)

 

教員にも有給休暇はありますが、

ほとんどが余ります。

(代休すら大量に余っている教員もいますね)

 

これが、教員が働きすぎになるメカニズムです。

(これでもかなり色んなものを端折っています)

 

これで給料が良ければまだしも、

「給特法」というとんでもない法律によって、

いくら残業をしても、

教員の給与は、増えないようになっているのです!

 

別名「定額働かせ放題」。

うまい名前を付けたもんですよ。

今度詳しく話しますが、気になる人はググってね。

 

さらに学校は、

プログラミング等の新コンテンツを求められるし、

親などに求められるものも、

どんどんエスカレートしている感が否めません。

 

これでは、

教員になりたい人が増えるはずもありませんね

 

 誰もが教員になれるようになると、

「教員にふさわしくな人」が教員になってしまい、

問題を起こせば、

周りの教員が尻ぬぐいをしないといけなくなる。

ちゃんとした教員はより仕事が忙しくなるが、

給料は増えない。

それならこんな仕事やめてやるー!

ってなって、さらに教員が足りなくなり、

もっとだれでも教員になれるように…。

 

ってこんなキレイな悪循環、ありますか…?

 

学校教育の衰退は、

国の衰退に直結すると僕は考えています。

学校教育を避けては基本的に大人になれませんから。

(一部の人を除く)

 

教員の働き方の改善は、

国を衰退させないためには必須だということを、

ぜひ皆さんに知っていただきたいという次第です。

 

部活について語るための前置きだったのに、

結構長くなってしまいました^^;

今度、部活動に関する見解を述べたいと思います。

 

 

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